それは、今年1月のことでした。
1歳から近所の保育園に通っていた娘も、卒園が目の前に。低体重で生まれたことで、生後しばらくはNICUでお世話になっていたことが嘘みたいに、すっかり大きくなり、いよいよ小学校入学の春を迎えます。
母親である私、ピナトンは、正社員で時短勤務をしながら仕事を続けてきましたが、それも保育園の存在があったからこそ。娘が小学校へ上がる4月以降も同じ形で働くとなると、学童保育の利用は必須と言えます。
しかし、事はそう簡単には運ばないものでした。これは、和歌山市在住のピナトンが、16年間勤めた会社を退職し、働き方を変えて「小1の壁」を乗り越えるお話です。
学童保育を利用する理由
ピナトンの場合、前提として下記の条件があります。
- 夫は、職場が自宅から遠方のため、朝早くから夜8時頃まで不在。休暇をなかなか取得できない職種。
- ピナトンの実家は自宅から車で30~40分。父親は出張しがちで、母親は車運転不可+持病持ち。
- 夫の実家は、飛行機を使うレベルの遠さ。同居の予定なし。
世の中には「実家は資産」という言葉があるそうですね。ピナトンの場合、身内で子どもを見守ることができないため、外部サービスとして学童保育を利用することを決めました。
公立学童と民間学童の違い
まず、学童選びからスタートしました。一般的に、学童保育には公立学童と民間学童の2種類が存在します。
公立学童 | 民間学童 | |
運営 | 地方自治体(直接運営と民間委託の2パターンがあり、和歌山市は後者です) | 民間企業 |
募集期間 | 和歌山市の場合、令和4年度4月スタートの通年利用の申請は、令和3年11~12月頃でした。他の月のスタートの場合は、利用したい前々月の1日~前月の15日までとなります。 | サービスにもよりますので、気になる民間学童には前年度の秋頃、事前に募集期間や条件などを確認しておくと、申込み忘れを防ぐことができるので安心です。 |
通いやすさ | 和歌山市の場合は各公立小学校に若竹学級というものがあり、子どもは放課後、教室移動するだけなので安全かつお手軽です。 | 親の送迎が必要な場合もありますが、サービスによっては送迎バスを利用できるケースもあります。近所だと、子どもだけで学童の施設へ直接行くことも。 |
お迎え | 保護者が迎えに行きますが、外が明るい時間帯の場合は子どもが1人で帰宅することもあるようです。お迎えの際、小学校内に駐車できないのと、近所に路駐することもできないことが多いため、要注意です。 | 利用施設や場所にもよりますが、送迎用の駐車場が完備されている場合もあります。 |
利用料 | 一般的に公立は安いです。和歌山市は1人4千円。2人目以降は2千円。世帯の状況によっては減額・免除措置を受けられる場合も。 | サービスにもよりますが、公立学童よりも高くなる傾向にあります。 |
イベントの有無 | 無いことも多いため、自由度が高いです。利用児童の数が少ない場合は、できる遊びが少なくて退屈する子もいるそうです。 | 夏休みや春休みなど長期休暇を中心に、イベント(お出かけや体験系、英会話やピアノなどのお稽古等)が計画されることが多いです。 |
ご飯 | 長期休暇の間は給食が無いため、お弁当を持っていきます。 | サービスによっては、オヤツが出たり、施設の近所でお昼ご飯を調達(有料)してもらえる場合もあります。 |
終了時間 | 和歌山市の場合は18時30分です。 | サービスにもよりますが、19時過ぎまで延長できるケースもあります。 |
こうしてまとめてみると、それぞれにメリット・デメリットがあります。
和歌山市の場合、公立の小学校の学童保育(若竹学級)に通えるのは、その小学校の児童だけです。別の小学校の児童は通えません。また、民間学童保育でも、その施設が存在する小学校区の子どもでないと通えないなど、あまり公にされていない制約が存在する場合もありますから、「ここに通わせたい!」という施設が見つかったら、必ず自分の子が通える対象になっているかご確認ください。
また、民間学童保育の送迎バスサービスも、常に自分の希望日程&希望地域で運行しているとは限らないため、チェック必須です。
学童選びの失敗談

当初ピナトンは、近所の民間学童保育を利用するつもりでした。その施設には前年の秋頃から「申し込み予定」と伝えていて、「申し込み時期になりましたらお待ちしております」と返事をもらっていました。ちなみに、この際にピナトンの自宅位置も話してあります。にも関わらず、いざ申込み手続きをしようとすると「お住まいの小学校区が、こちらの学童保育と別学区のためお断り」と言われてしまっため、結局利用できませんでした。(学区は異なるものの、通える近さだっただけに残念です……)
仕方がないので、別の民間学童保育の利用を検討しました。しかし、和歌山市内の民間学童保育は選択肢があまりありません。資料請求したり、娘を連れて施設の見学に出向いたりして、ようやく新たな候補が浮上してきました。送迎バスもあるサービスですが、親の送迎が必要な場面もある見通しとなり、安定的な仕事との両立が絶望的に。
さらに公立の学童保育は、たまたま激戦区だったのです。(娘の通う小学校の場合、2022年は40名の枠に対して99名の応募があったようです。これは若竹学級に直接電話して確認できた数字です)
こうしてピナトンは、学童選び(特に初手)に失敗したのでした。
初めから公立学童保育を狙っていれば、今頃正社員を継続できていたのかもしれません。ですが、若竹学級へ連絡して確認したところ、ピナトンの地区の小学校では、毎年学童に入れた子どもの95%以上が1年生とのことでした。つまり、小学校2年生になると、ほぼ利用できなくなるという意味になります。
結局ピナトンにとって「小1の壁」は「小2の壁」になろうと、どの道避けられないものだったということ。そう考えた時、ピナトンは新たなアイデアを閃きました。
「そうだ。リモートで働けばいい」
これが1月中旬のことです。
学童に入れなったので在宅勤務させてください

ピナトンは、毎日職場へ出勤するタイプの正社員でした。コロナ禍の中で、蔓延防止重点措置が施行されている期間などは、一時的に在宅勤務をしていたこともあります。
在宅勤務などのリモートワークは、職場に出社している方との連携など、ややコツや気遣いが必要な場面もありますが、ピナトンの職種(デザインやWebマーケティングを行うインハウスデザイナー)は、より集中して業務に取り組むことができて、むしろ効率がアップします。そこで、会社側に「子どもが小学校に行っている午前中は職場に出勤するので、午後からは在宅勤務をさせてもらえませんか」と、新たな働き方について打診しました。
それから1か月。理解のあるピナトンの上司は、会社側に社員の身分を維持できるよう、粘り強く働きかけてくれました。でも、会社側の答えは一貫してNO。理由は次の通りです。
- 在宅勤務は本当にどれだけは働いているのか、きちんと管理できないから
- 同じ会社内でも在宅勤務できない職種が多いため、不公平が生じる など
もう2月半ば。順当にいけば、退職の文字が頭をよぎります。けれど、せっかく16年も勤めた会社。せっかく長年従事し続けてきたデザインの仕事。すべてあっさり手放すのは、やり切れません。何より、経済的な損失が大きいです。そこで、次は別の打診を行いました。
「フルリモートの業務委託として働かせてください!」
ピナトンは地方在住のアラフォー。あわよくば、この機会に転職できたかもしれない。そんな可能性も捨てきれませんが、ひとまず仕事環境をできるだけ変えないことで、娘の小学校デビューを応援したい気持ちでいっぱいでした。
小学校1年生になるのは娘自身ですが、親としても小学校1年生。初めてのことが、小学校も!仕事も!となると、キャパオーバーしたり、とんでもないミスをしてトラブルを起こすのではないかと怖かったのです。
ピナトンの希望は、すぐに会社側に受け入れられました。ピナトンは正社員の身分を失くし、業務委託という形でフリーランスになることが決定した瞬間です。3月半ばのことでした。
小1の壁はフリーランスになって乗り越えよう
4月。娘は無事に小学生になりました。小1の4月前半は、給食が無いために帰宅時間がとても早い(娘の小学校の場合、11時下校)です。ピナトンは、退職日を4月末に設定し、4月中は余っていた有給休暇を消化することで、娘の帰宅時間に家にいることができました。5月以降、フリーランスになっても在宅勤務していれば「おかえりなさい」を言うことができます。
在宅勤務のフリーランスになれば、こんなメリットがありそうです。
- 子どもが帰宅した際に在宅できると、鍵を持たせなくて済む
- 子どもとの時間が増える
- これまで通勤時間に充てていた時間を別のこと(家事や趣味)に使える
- 副業ができる(ピナトンの場合、副業禁止に会社に勤めていました)
一方で、デメリットもあります。
- 会社の業績が悪化すると、業務委託契約が継続できない可能性も
- 個人事業主は社会的信頼が低いため、クレジットカード作成やローンの利用ができないことも
- 経費の管理や確定申告、各種税金の納付を自分で行うことになる
ですが、freee会計ややよいの青色申告オンラインなどの会計ソフトや、お仕事を募集したり依頼を受けたりできるクラウドサービス(ランサーズやクラウドワークス、ココナラなど)もありますので、一昔前よりもリスクヘッジしながら、便利にフリーランスのお仕事ができる環境が整ってきていると思います。
ピナトンのように「学童に入れなかった」という方も、これから「学童に入れるか不安」という方も、ぜひ、フリーランスという選択肢を検討してみてください。
無事、学童に入れた方も、途中で子どもが学童に行きたがらなくなる場合もあるようです。在宅勤務のフリーランスになれば、ある程度の収入を得つつ、継続的に子育てや子どもの見守りができそうです。
まとめ
ここまで、ピナトンが「小1の壁」を乗り越えた方法のご紹介でした。小1の壁にもいろいろあって、学習面やお友達など人間関係、生活面などと、さまざまな要素があります。立ちはだかる問題は、今回のような母親の仕事だけにとどまりません。やはり収入面を考慮すると、民間学童保育の掛け持ちや、有給休暇や欠勤との組み合わせなどで、正社員の身分を維持して乗り切るご家庭もあることでしょう。
今回はほんの一部の参考例かと思いますが、世の子ども達の保護者が抱えるさまざまな困難や不安を共有して、少しでも気持ちを連帯したり、知恵や情報を提供できればと考えています。
さて、ピナトンのフリーランス生活は始まったばかり。まだまだ未知のことがたくさんありますが、仕事だけではなく家族との時間や趣味の時間など、いろいろな時間のバランスをとりながら毎日を楽しむつもりです。そんな記録を残していくのが当ブログPinatone(ピナトーン)。少しずつ記事を増やしていきますので、また読みにいらしてくださいね!